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生産性向上したければ組織的資本に投資したほうがいいんじゃない?

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多くの人が「生産性」とか「生産性向上」っていう言葉を使うけど「生産性の定義は?」って聞くと、意外と認識はバラバラです。バラバラであるが故に生産性を向上させようとしている施策に大きな誤解というか大いなる間違いがあります。何が誤解かというと「何かの投資をする前に組織的資本への投資をしなければ無意味なのに、あまり考えずに一生懸命生産性向上施策をしている」ということです。

 

働き方改革の本丸は生産性向上

働き方改革と言われて久しいですが、働き方改革の本丸でもある生産性向上はできていますか?

ところで、「生産性向上」というと、どのようなイメージですか?

ロボットか1時間あたりに生産する製品とか、

工場のラインの一つで一日あたりどれぐらいの製品を生産するのか?

というイメージもあるでしょうし、

人間が機械の力を利用して仕事量を減らすとか、

人間が機械の力を利用して成果量を増やすというイメージがあると思います。

経済学的に言うと、生産性は、「投入量と産出量の比率」です。

投入量?

産出量?

は?  

何をそれ?

って感じですよね。

産出量ってのを簡単に言うと企業の売上高だったりします。

もう少し詳しく言うと、原材料から何かを生産した時に、その原材料にどれほどの価値を追加できたのか?と言う付加価値額の総額ですね。

ちなみに、一定期間(一般的に1年)で国内の市場において生み出された付加価値額を国内総生産(GDP)と言います。

お次は、投入量ですね。

余程ことがない限り、何かを生産する時って、コンピュータや店舗や機械や従業員の労働時間などの生産要素を投入しないといけません。

投入量というのは、このようなリソースを費やした量のことを言います。

コンピュータや店舗や機械と、従業員の労働時間は一緒かい! って・・・。

まあ、確かに違います・・・。

一応、コンピュータや店舗や機械のようなものは資本であり、従業員の労働時間は労働と言う感じで分けてます。

なので、確かに生産性と言う大きな括りでは「投入量と産出量の比率」ですけど、

労働生産性と言うと、「投入した労働量と得られた成果(付加価値額)の比率」となります。

で、一般的に生産性は高いと思われる方向に動きます。

馬車で移動するより蒸気機関で移動したほうが生産性が高いので、人々は馬車で移動するより蒸気機関で移動する方を選びます。

なので、趣味の馬車以外は馬車は無くなってしまいます。

手で田畑を耕すよりトラクターで耕した方が生産性が高いので、人々は人力をやめてトラクターを購入してトラクターで田畑を耕します。

ワープロ専用機よりマルチな作業ができるパソコンを使った方が生産性が高いので、人々はワープロ専用機をやめてパソコンを購入しました。

手書きやそろばんやOHPより、ワープロソフトや、表計算ソフトやプレゼンテーションソフトを使った方が効率的で生産性が高いので、人々はこれらのソフトを購入しました。

と言うことで、どんな時代においてもより効率的で生産性が高いと非効率で生産性が低いやり方は駆逐されてしまうと言うことです。


日本の生産性は向上していない!?

さて、日本において1990年以降の生産性は向上しているでしょうか?

インターネットも普及したし、キャッシュレスで自販機で買えるし電車も乗れる、知りたい情報は検索すればすぐ手に入るし、タクシーだってスマホで呼べば好きな場所に来てくれる!から当然ながら生産性は向上しているはず!

しかし・・・、実際にはそれほど生産性は向上していません。

主要国の1人当たりGDPランキングを見てみると・・・

1995年

1位ルクセンブルク50千ドル
2位スイス48千ドル
3位日本43千ドル
6位ドイツ31千ドル
17位イギリス23千ドル

2013年

1位ルクセンブルク115千ドル
2位スイス85千ドル
3位マカオ77千ドル
19位ドイツ47千ドル
24位イギリス43千ドル
26位日本40千ドル

1人当たりGDPランキングを見ると、スイスやルクセンブルクというような小さな国が目立つのですが、これは国としての特徴も大きく影響しています。タックスヘイブンがあったり、金融関連企業で働く人が多かったりすることがあるので、このような結果になります。なので、ランキング自体はそんなに気にする必要もないと思います。

参考までに日本と類似しているイギリスやドイツのデータも掲載しました。

 

僕が問題だと思うのは1995年から2017年までの伸び率だと思ってます。

以下が各国の伸び率ですが、日本は1.52倍ととても低く約30年の間で50%しか生産性が向上していないことになります。


伸び率

ルクセンブルク2.3倍
ドイツ1.5倍
スイス1.7倍
イギリス1.9倍
日本0.9倍

では、生産性に大きく影響を与えていると思われる情報技術(IT)の市場規模はどうかというと、総務省の情報通信白書にある実質国内生産額を見てみると、

1995年には63兆円で

2013年には98兆円と上昇傾向(約1.5倍)です。

1995年から2013年の間に日本全体でIT投資を1.5倍にしたのに、一人当たりの生産性は10%も減ったということになります!

えぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーー

多くのIT投資は無駄だってこと???

どうやらそのようです・・・。

残念ですが・・・。


なぜ、IT投資では生産性が向上しないのか?

では、なぜ、IT投資をしているのに生産性が向上しないのか?

マサチューセッツ工科大学のエリック ブリニョルフソン教授は、

業績が良くて企業価値が高い企業は、IT投資額が多いが、さらに組織的資本への投資額が多いということを証明しました。業績が良くなくて企業価値が高くない企業の組織的資本を「10」としたら業績が良くて企業価値が高い企業の組織的資本を「100」もあったということです。そして、業績が良くて企業価値が高い企業は、ITに1ドル投資するごとに、組織的資本への投資を10ドル投資したことになると言っています。

インタンジブルアセット

 

僕なりに言い換えると、組織的資本への投資をしないままに、IT投資をしても「焼け石に水」「砂上の楼閣」で、あまり意味がないということです。

イギリスやドイツ、アメリカのような国の企業は、「勿体無い主義」でせっかくIT投資をするんだから、それを活かすための組織的資本への投資もしなきゃダメじゃんって思ってるわけです。

でも、日本の企業は、「IT投資すればいけるっしょ」って思ってるわけです。

エリック・ブリニョルフソン教授の証明が正しいとすれば、日本企業はいつまでも

  • 業務システムを導入して生産性向上!
  • ビッグデータを使って生産性向上!
  • 人工知能を使って生産性向上!
  • SNSの活用して生産性向上!
  • HR Techで人材開発に革命を!
  • Fin Techで次世代金融システムを!

っていう妄想から抜けられません。

実際には、業務システムやビッグデータや人工知能などのIT投資をすることで生産性を向上させている企業は多くあります。

そりゃそうです。
そもそも多くのシステムは生産性が向上するように設計されているので・・・。

でも、実際に生産性向上できていない企業が多いのも事実です。

情報システムを導入する前に設定した具体的な指標(投入した労働量をどれぐらい減らせるか? とか、得られる成果をどれくらい増やせるか?)を、情報システムを導入した後にも調査することが重要です。

調査できない?

調査できないような情報システム導入だったらやめたほうが賢明ですね。

投資結果の良し悪しがわからないのであれば、その投資は方法や種類を見直したほうが良い証拠です。

ちょっと、横道にそれちゃいましたが、

IT投資の成否を分ける差は、やはり「組織的資本への投資の有無」

です。

組織的資本というのは、社員研修、人材育成、モチベーション、組織文化、組織風土、自己実現、業務プロセスの改善、社員の主体性、社員のリーダーシップ、目標の明確化というような目に見えない資本です。

確かに、IT投資をすることで生産性を向上させている企業を観察すると組織的資本への投資が行われています。


投資はIT投資だけじゃない!

では、組織的資本への投資が影響を与えているのってIT投資だけか?

という疑問も出てくると思います。

オフィスなどの職場環境、リモートワークのような多様な働き方、福利厚生施設、福利厚生サービスなど様々な投資があります。

世の中の流行りだからと言って、おしゃれなカフェテリアを設置したり、従業員の誕生日を祝ったり、社員旅行に行っても、あまり効果が無いのです。


このような取り組みは、従業員満足度は向上するかもしれませんが、それだけではダメなのです(これについてはまたの投稿で)

 

今回のポイント

何かの投資をする前に組織的資本への投資をしなければ焼け石に
水生産性を向上したければ組織的資本への投資をすべし!
生産性を向上したければ組織的資本への投資をすべし!

 

 


 

読んでくれてサンクイット!!!

サンクイットは、ポストイットからインスパイアされた造語です。ポストイットは「それを貼る」という意味合いなので、サンクイットは「それに感謝する」という意味です。ポストイットのように、相手の心に感謝を貼ろうという意味もあります。

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